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【中央大会 特別寄稿第1弾】~300点満点の全力プレー!~

 10月2日(土) 緊急事態宣言が明け、今日から南公園での練習が再開できることに。

翌日の試合に向けてコーチ陣の指導にも熱が入る。先日、身内にご不幸があり帰郷された下田監督に代わり指揮をとるのは森川監督代行。挨拶や整列など基本を教えながらも、大谷シフトならぬ竜房台シフトを作り出した。

 サード、センター、ライトを1,2塁間に配置しセカンドを4人で守るという奇策である。普通に考えればありえない守備隊形だが、名将には考えがあった。

「明日は公式戦。やるからには勝ちにいきたいが、相手は県大会常連の竜房台。今のゆうかりにできる最大限のパフォーマンスをしたい。」

 1つでもアウトを取るにはと考えた時に、可能性があるとすれば、ピッチャーゴロか、ファーストに近い所に飛んだゴロ。今のゆうかりの守備力を考えたら納得の作戦であった。

 ランナーがいない時はファーストでアウトを取る。ランナーが1塁にいる時は、ファーストかセカンドの近い所でアウトを取る。子供達は、初めてのことに戸惑いながらも、今自分がやるべきプレーを確認しながら一生懸命練習していた。

 

 そして練習の最後、子供達だけで話し合って決めた明日の目標は『なんとか1点を取る!』であった。

 

 そして10月3日(日) 決戦の朝、馬橋北小グラウンドには続々と集まるメンバー。寿からの助っ人のオオスケとハルキも。そして昨日体調を崩していたキャプテン・リクト。もう大丈夫なのか?と聞くと「大丈夫!」と力強い一言。ホッとしたのと同時に頼もしさを感じたのを覚えている。

 八ヶ崎小に移動し、試合の準備をしていると森川監督代行から提案が。

「助っ人有りではあるが、ゆうかり単独チームでの久しぶりの公式戦。本来なら下田監督も相当気合が入っていたに違いない。そんな下田監督の想いを胸に、共に戦いたい。」

と、ゆうかりのチームカラーであるオレンジ。南国宮崎のイメージがあるオレンジ色のリボン『下田魂(優翔命名)』をベンチ入りメンバー全員の左肩に付け、試合に臨むことに。注)下田監督はご健在です(笑)。

 

 さあ、プレイボール。試合はゆうかり先攻で始まる。

 1回表、1アウトからカズマ、リキが連続四球で出塁するも、タイチ、ユウトが惜しくも三振に倒れ無得点。しかしながら得点圏にランナーを進める良い攻撃をみせる。

 1回裏、ゆうかりの先発はリクト。制球に苦しみながらも必死に投げる姿と、体を張ってボールを止めようとするリキの姿が印象的だった。竜房台シフトの守備陣はハルキを中心にみんな声がよく出ていた。内野を抜け外野を転々とする打球も、全員で必死に追いかけた。

 2回表、先頭のカズが四球で出塁すると、ユウくんが惜しくも三振の後、オウスケがチーム初ヒットとなる内野安打で1,2塁!。続くハルキが四球を選び満塁。そしてバッターはキャプテン・リクト。カウント1-2からの4球目、必死に食らいついた打球はライト線ギリギリに落ちる2点タイムリーツーベース。送球エラーの間に1点追加し一挙3得点で、ベンチは大盛り上がり。私も1塁コーチャーズボックスで小さくガッツポーズ!。

 試合は3対20で負けはしたが、みんなが全力プレーで、『なんとか1点を取る』という目標を大きく上回ることができ本当に良かったと思う。審判の方への挨拶も全員ができていたことが嬉しかった。

 

 ベンチでいつも以上に大きい声で応援してくれたレン、メイ。1人離れたレフトでエラーせずしっかり守ってくれたユウくん。内野の守備を1番大きい声で引っ張ってくれたハルキ。出塁率10割の男カズ。味方がエラーしてもしっかりカバーに入るユウト。チームプレーで見逃し三振をしてきたタイチ。助っ人としてしっかりヒットを打ってくれたオオスケ。1,2打席とも粘りを見せてくれたカズマ。キャッチャーとして人一倍動いてくれたリキ。そしてキャプテン・リクト。みんなよく頑張ったね!

 

 ただ1つ驚いたのは、試合後、みんながみんな悔しがっていたこと。目標を達成できた喜びよりも、試合に負けた悔しさの方が勝っていた。みんなにこの気持ちがあれば、ゆうかりソフトボールチームはどんどん強くなるはず。目標が『なんとか1勝すること』になり、そしてその目標を大きく上回る結果になるのも、そう遠くない未来なのかもしれない。

 

コーチ 月安